大黄(だいおう)

写真:大黄(だいおう)

中国産のタデ科植物の根茎。含有するセンノサイドなどは消炎・健胃の効があるが、最も知られる効能は下剤としてである。実証に用いる生薬である。

実用厳選処方
三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう) 大黄3、黄芩3、黄連3 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう) 瓜子6、牡丹皮4、桃仁4、大黄2、芒硝2 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) 滑石3、桔梗2、黄芩2、石膏2、甘草2、当帰1.5、芍薬1.5、川芎1.5、梔子1.5、連翹1.5、薄荷1.5、荊芥1.5、防風1.5、麻黄1.5、大黄1.5、芒硝0.75、生姜0.5

大棗(たいそう)

写真:タイソウ

ナツメの実。強壮・健胃の効のほかに、急迫性のひきつけや過敏症をやわらげる作用があり、漢方ではよく使用される生薬のひとつである。

実用厳選処方
葛根湯(かっこんとう) 葛根8、麻黄4、大棗4、桂枝3、芍薬3、甘草2、生姜1 甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう) 半夏5、甘草3.5、黄芩2、人参2、大棗2、生姜1、黄連1 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう) 小麦20、大棗6、甘草5 桂枝湯(けいしとう) 桂枝4、芍薬4、大棗4、甘草2、生姜1 呉茱萸湯(ごしゅゆとう) 大棗4、呉茱萸3、人参2、生姜1 小柴胡湯(しょうさいことう) 柴胡8、半夏8、黄芩3、大棗3、人参3、甘草3、生姜1

沢瀉(たくしゃ)

写真:沢瀉(たくしゃ)

サジオモダカの塊茎。口渇を止め、利尿の効があり、めまいにも効く。

実用厳選処方
猪苓湯(ちょれいとう) 猪苓3、茯苓3、滑石3、沢瀉3、阿膠3 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 芍薬6、沢瀉5、茯苓4、朮4、当帰3、川芎3 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう) 半夏3、白朮3、陳皮3、茯苓3、麦芽2、天麻2、神麴2、生姜1.5、乾姜1.5、黄耆1.5、人参1.5、沢瀉1.5、黄柏1 五苓散(ごれいさん) 沢瀉6、猪苓4.5、茯苓4.5、朮4.5、桂枝3

知母(ちも)

写真:知母(ちも)

ユリ科のハナスゲの根。中国原産だが、群馬県でも栽培される。解熱・潤燥の効用がある。

実用厳選処方
桂芍知母湯(けいしゃくちもとう) 白朮4、桂枝3、生姜3、麻黄3、知母3、防風3、芍薬3、甘草1.5、附子1 酸棗仁湯(さんそうにんとう) 酸棗仁15、茯苓5、知母3、川芎3、甘草1

丁香(ちょうこう)

写真:丁香(ちょうこう)

スパイスの丁子のことで、南洋産のチョウジの花蕾。芳香性健胃剤として有効。

実用厳選処方
女神散(にょしんさん) 当帰3、川芎3、白朮3、香附子3、桂枝2、人参2、黄芩2、檳榔2、黄連1.5、木香1.5、甘草1.5、丁香・大黄各0.5

釣藤鈎(ちょうとうこう)

写真:釣藤(ちょうとう)

カギカズラのとげの一種。鎮静やけいれんを治める作用があり、頭痛・めまいによく用いられる。

実用厳選処方
釣藤散(ちょうとうさん) 石膏5、釣藤鈎3、橘皮3、半夏3、麦門冬3、茯苓3、人参2、菊花2、防風2、甘草1、生姜1

猪苓(ちょれい)

写真:猪苓(ちょれい)

サルノコシカケ科のチョレイの菌体。北海道や信州に野生する。解熱作用をかねた利尿剤で、口渇を止め、鎮静効果もある。

実用厳選処方
猪苓湯(ちょれいとう) 猪苓3、茯苓3、滑石3、沢瀉3、阿膠3 五苓散(ごれいさん) 沢瀉6、猪苓4.5、茯苓4.5、朮4.5、桂枝3

陳皮(ちんぴ)

写真:蔯皮(ちんぴ)

熟したミカンの皮。「陳」というのは古いという意味で、「若いミカンの皮=橘皮」とは区別される。フラボノイド配糖体、芳香族アミンに健胃・せき止め・去痰の効がある。

実用厳選処方
香蘇散(こうそさん) 香附子4、生姜3、蘇葉2、陳皮2、甘草1.5 平胃散(へいいさん) 蒼朮4、厚朴3、陳皮3、大棗2、生姜1、甘草1

天麻(てんま)

写真:天麻(てんま)

ラン科のオニノヤガラの根茎。強壮作用のある鎮静剤で、めまい・頭痛・神経衰弱などに用いる。

実用厳選処方
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう) 半夏3、白朮3、陳皮3、茯苓3、麦芽2、天麻2、神麴2、生姜1.5、乾姜1.5、黄耆1.5、人参1.5、沢瀉1.5、黄柏1

当帰(とうき)

写真:当帰(とうき)

セリ科のトウキの根。北海道や福島・奈良県で栽培されている。プチルフタライド類、クマリン類ポリアセチレン類が含まれ、からだをあたため、血を増し、血の滞りを去り、強壮・鎮痛・鎮静の効果がある。広く婦人の病気、妊娠の諸症状のために用いられる。

実用厳選処方
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 芍薬6、沢瀉5、茯苓4、朮4、当帰3、川芎3 当帰飲子(とうきいんし) 当帰5、地黄4、芍薬3、川芎3、蒺藜子3、防風3、何首烏2、荊芥1.5、黄耆1.5、甘草1 蒲公英湯(ほこうえいとう) 蒲公英8、当帰6、山薬4、香附子3、牡丹皮3 四物湯(しもつとう) 当帰5、川芎5、芍薬5、地黄5 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) 滑石3、桔梗2、黄芩2、石膏2、甘草2、当帰1.5、芍薬1.5、川芎1.5、梔子1.5、連翹1.5、薄荷1.5、荊芥1.5、防風1.5、麻黄1.5、大黄1.5、芒硝0.75、生姜0.5

桃仁(とうにん)

写真:桃仁(とうにん)

くだもののモモの種子を割って仁をとりだしたもの。生薬として用いるものは、大半が中国からの輸入品である。アミグダリンなどを含み、浄血作用で知られ、鎮痛・消炎の効もある。

実用厳選処方
桃核承気湯(とうかくじょうきとう) 桃仁5、桂枝4、大黄3、甘草1.5、芒硝1 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう) 瓜子6、牡丹皮4、桃仁4、芒硝2、大黄2

杜仲(とちゅう)

写真:杜仲(とちゅう)

中国産トチュウの樹皮。強壮・鎮痛・鎮静の効がある。

実用厳選処方
大防風湯(だいぼうふうとう) 当帰3、芍薬3、熟地黄3、黄耆3、防風3、杜仲3、朮3、川芎2、人参1.5、羌活1.5、牛膝1.5、甘草1.5、大棗1.5、乾生姜1、附子1

独活(どっかつ)

写真:独活(どっかつ)

セリ科のシシウドの母根。食用のウドでは薬用にならない。鎮痙・発汗の効があり、鎮痛剤としても用いられる。

実用厳選処方
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) 茯苓4、柴胡3、桜皮3、桔梗3、川芎3、独活3、防風3、甘草1、生姜1、荊芥1