柴胡(さいこ)

写真:柴胡(さいこ)

セリ科のミシマサイコの根。中国では河北、遼寧などの各省で産出。国産では静岡県天城山あたりで産するものが最上品とされる。漢方では最も重要な解表理気薬のひとつで、消炎・解熱・鎮静・鎮痛などの作用をもち、胸脇苦満に使用される。

実用厳選処方
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう) 柴胡5、半夏4、桂枝2.5、芍薬2.5、黄芩2、人参2、大棗2、甘草1.5、生姜1 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) 柴胡6、瓜呂根4、桂枝3、乾姜3、牡蛎3、黄芩3、甘草2 小柴胡湯(しょうさいことう) 柴胡8、半夏8、黄芩3、大棗3、人参3、甘草3、生姜1 大柴胡湯(だいさいことう) 柴胡8、半夏8、黄芩3、芍薬3、大棗3、枳実3、大黄2、生姜1.5 乙字湯(おつじとう) 当帰6、柴胡5、黄芩3、甘草2、升麻1.5、大黄0.5

細辛(さいしん)

写真:細辛(さいしん)

山地の陰湿地に自生するウスバサイシンの根。温裏薬。せき止め・鎮痛・解熱・去痰の効があり、抗炎症作用もある。

実用厳選処方
小青竜湯(しょうせいりゅうとう) 半夏6、麻黄3、芍薬3、甘草3、桂枝3、細辛3、五味子3、乾生姜3

山茱萸(さんしゅゆ)

写真:山茱萸(さんしゅゆ)

サワグミの実。種子をとって果肉を用いる。滋養強壮の効がある。

実用厳選処方
八味地黄丸(はちみじおうがん)=(八味丸) 地黄5、山茱萸3、山薬3、沢瀉3、茯苓3、牡丹皮3、桂枝1、附子0.5

山椒(さんしょう)

写真:山椒(さんしょう)

蜀椒、川椒ともいうが、サンショウの果殻である。整腸、健胃作用があり、回虫を駆除する。

実用厳選処方
大建中湯(だいけんちゅうとう) 膠飴20、乾姜4、人参3、山椒2

サンシシ

写真:サンシン

クチナシの果実で、飲食物の黄色着色料としても飛鳥時代から使用されている。消炎、排膿、胆汁分泌などの効がある。

実用厳選処方
黄連解毒湯(おうれんげどくとう) 黄連2、黄芩3、黄柏2、山梔子2

酸棗仁(さんそうにん)

写真:酸棗仁(さんそうにん)

サネブトナツメの種子。含有するジュジュポサイドは神経の安定剤で、心因性の不眠や寝汗を治す効がある。

実用厳選処方
酸棗仁湯(さんそうにんとう) 酸棗仁15、茯苓5、知母3、川芎3、甘草1 加味帰脾湯(かみきひとう) 大棗5、人参3、朮3、茯苓3、酸棗仁3、竜眼肉3、黄耆2、当帰2、梔子2、遠志1.5、生姜1、甘草1、木香1、柴胡3

山薬(さんやく)

写真:薯蕷(しょよ)

ナガイモ、ヤマノイモ、あるいはジネンジョのこと。滋養強壮剤である。

実用厳選処方
八味地黄丸(はちみじおうがん)=(八味丸) 地黄5、山茱萸3、山薬3、沢瀉3、茯苓3、牡丹皮3、桂枝1、附子0.5 蒲公英湯(ほこうえいとう) 蒲公英8、当帰6、山薬4、香附子3、牡丹皮3

地黄(じおう)

写真:地黄(じおう)

ゴマノハグサ科のアカヤジオウの根茎。ステロール、マンニトール、レーマノサイドA・Bなどを含む強壮剤であるが、血糖降下、利尿効果ももつ。

実用厳選処方
八味地黄丸(はちみじおうがん)=(八味丸) 地黄5、山茱萸3、山薬3、沢瀉3、茯苓3、牡丹皮3、桂枝1、附子0.5 四物湯(しもつとう) 当帰5、川芎5、芍薬5、地黄5

紫根(しこん)

写真:紫根(しこん)

ムラサキの根。古くは重要な染料であった。浮腫抑制、抗炎症、創傷治癒促進作用がある。

実用厳選処方
紫雲膏(しうんこう) 胡麻油1,000、密蠟380、当帰100、紫根100、豚脂25

芍薬(しゃくやく)

写真:芍薬(しゃくやく)

観賞用のシャクヤクの根である。筋肉の緊張をゆるめ、痛みを止め、血のめぐりをよくするところから、漢方では重要な薬物とされ、多くの処方に配合されている。

実用厳選処方
桂芍知母湯(けいしゃくちもとう) 白朮4、桂枝3、生姜3、麻黄3、知母3、防風3、芍薬3、甘草1.5、附子1 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) 芍薬3、甘草3 真武湯(しんぶとう) 茯苓5、芍薬3、生姜3、朮3、附子0.5~1 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 芍薬6、沢瀉5、茯苓4、朮4、当帰3、川芎3

車前子(しゃぜんし)

写真:車前子(しゃぜんし)

オオバコの種子。利水清熱薬。むくみ、尿量減少、下痢、膀胱炎などに広く使われ、眼球充血、かすみ目などにも用いられる。

実用厳選処方
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう) 木通5、地黄5、当帰5、車前子3、黄芩3、沢瀉3、梔子1.5、甘草1.5、竜胆1.5

縮砂(しゅくしゃ)

写真:縮砂(しゅくしゃ)

東南アジア産のショウガ科シャクシャの果実。芳香性の健胃剤で、食欲不振・腹痛・下痢などに用いる。

実用厳選処方
安中散(あんちゅうさん) 桂枝5、延胡索4、牡蛎4、茴香2、縮砂1.5、甘草1.5、良姜1

熟地黄(じゅくじおう)

写真:熟地黄(じゅくじおう)

地黄はふつう日干しにしたものを用いるが、蒸してから乾燥したものを使うことがあり、これが熟地黄。代表的な補血薬。動悸、めまい、不眠、月経不順などの血虚証に用いる。

実用厳選処方
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 朮4、当帰4、茯苓4、熟地黄4、人参3、黄耆3、川芎3、芍薬3、桂枝3、甘草2

朮(じゅつ)

写真:朮(じゅつ)

白朮・蒼朮がある。山野に自生するオケラの根茎。漢方では利水に広く用いられる生薬で、健胃・利尿・鎮痛の効があり、めまいにも使われる。

実用厳選処方
五苓散(ごれいさん)沢瀉6、猪苓4.5、茯苓4.5、朮4.5、桂枝3 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 朮4、当帰4、茯苓4、熟地黄4、人参3、黄耆3、川芎3、芍薬3、桂枝3、甘草2 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 芍薬6、沢瀉5、茯苓4、朮4、当帰3、川芎3 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 黄耆4、人参4、朮4、当帰3、陳皮2、大棗2、甘草1.5、柴胡1、乾生姜0.5、升麻0.5 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) 防已5、黄耆5、朮3、大棗3、甘草1.5、生姜1 越婢加朮附湯(えっぴかじゅつぶとう) 越婢加朮湯に加工附子末を一日量1グラム加える

生姜(しょうきょう)

写真:生姜(しょうきょう)

食用のヒネショウガのこと。表寒証を治療し、胃腸を暖め、その働きをととのえる芳香性の健胃剤。食欲不振・嘔吐・むかつきなどをおさめる効があり、消化吸収も助ける。からだをあたためる効果は乾姜のほうが強いが、これ自体も応用範囲が広い。

実用厳選処方
生姜瀉心湯(しょうきょうしゃしんとう) 半夏5、黄芩2.5、人参2.5、甘草2.5、大棗2.5、乾姜1.5、生姜2、黄連1 桂枝湯(けいしとう) 桂枝4、芍薬4、大棗4、甘草2、生姜1 葛根湯(かっこんとう) 葛根8、麻黄4、大棗4、桂枝3、芍薬3、甘草2、生姜1 小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう) 半夏8、生姜8、茯苓3

升麻(しょうま)

写真:升麻(しょうま)

キンポウゲ科のサラシナショウマの根茎。タンニン酸などを含む清熱解表薬で抗炎症、解熱の効があり痔疾用薬にも使用する。

実用厳選処方
乙字湯(おつじとう) 当帰6、柴胡5、黄芩3、甘草2、升麻1.5、大黄0.5 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 黄耆4、人参4、朮4、当帰3、陳皮2、大棗2、甘草1.5、柴胡1、乾生姜0.5、升麻0.5

石膏(せっこう)

写真:石膏(せっこう)

天然の軟石膏で、含水硫酸カルシウムを含んでいる。のどの渇きを治し、熱を下げ、興奮を静める。白虎ともいう。

実用厳選処方
白虎湯(びゃっことう) 石膏15、粳米8、知母5、甘草2 竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう) 石膏10、粳米6、麦門冬6、半夏4、人参3、竹葉2、甘草2 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう) 石膏10、麻黄4、杏仁4、甘草2 越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう) 石膏8、麻黄6、朮4、生姜3、大棗3、甘草2

川芎(せんきゅう)

写真:川芎(せんきゅう)

セリ科のセンキュウの根。からだをあたため、血をめぐらす活血・利気剤。婦人の病気によく使われる。

実用厳選処方
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 芍薬6、沢瀉5、茯苓4、朮4、当帰3、川芎3 四物湯(しもつとう) 当帰5、川芎5、芍薬5、地黄5

蒼朮(そうじゅつ)

写真:蒼朮(そうじゅつ)

オケラの中でも中国産のものをいい、油分に富み、独特な芳香がある。水分代謝に異常が認められる場合などに用いられる。厳密には、朮と区別される。

実用厳選処方
五積散(ごしゃくさん) 蒼朮3、半夏2、当帰2、陳皮2、茯苓2、乾姜1.3、白朮1、枳実1、麻黄1、大棗1、白芷1、生姜1、厚朴1、芍薬1、川芎1、桔梗1、桂枝1、甘草1

蘇葉(そよう)

写真:蘇葉(そよう)

シソの葉であるが、チリメンジソなど濃い紫色のものを使う。ペリルアルデヒドやメントールを含み、発汗・健胃・理気の効があり、有名な気剤。

実用厳選処方
香蘇散(こうそさん) 香附子4、生姜3、蘇葉2、陳皮2、甘草1.5 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 半夏6、茯苓5、厚朴3、蘇葉2、生姜1